CubeVoyage更新:初級編(M2Lメソッド)
2018 / 12 / 15 ( Sat )
ルービックキューブのそろえ方 初級編
お待たせしました。ようやく作りました。
・理解しやすい、覚えやすい
・上位解法へスムーズに移行できる
・基本的な指使いが身につく
と三拍子そろった素晴らしい解法であるM2Lメソッドを、初心者向けに解説したものとなっております。
まっしゅ氏に解法および名前の使用許可をもらったのが今年頭だった気がする。
モチベ頼みの作業はクソ。
社会人になったのでこれからはもう少しコンスタントで計画的な取り組みをしたいです。
ちなみに、解法の名前を何かの頭文字を取ってMUSHにするっていうのも考えましたが、頓挫しました。
古い目隠し解法の1つであるTuRBoは"The Ruling/Reigning Blindmethod"の略らしい(Speedsolving.com Wikiより)ので、それにちなんで似たようなのを考えようとしてみたのですが……
Mが"Method of"っていうのは考えたので、残りのUSHを誰か考えてください。
正直自分としては、あまり初級編って作りたくなかったんですよね……
というのも、初級編はルービックキューブを揃えたことがない人が最初に見る場所なので、あらゆる所に細心の注意を払い、誤字脱字やミスリードがないように仕上げなければならず、作るうえでとても気力を消費するのです。
また、自分がCube Voyageを運営する上で、維持管理に手間のかかる場所はなるべく作りたくないようにしたい
(「新しい競技を始める前に」から「おすすめキューブ」の欄を消した点や、OLLPLLの表を作るのがだいぶ遅かったり、COLLの表が今もないのもそのため)
というのもあります。特に初心者向けの情報は常に最新でなければならないため、定期的にアップデートが必要になるからです。
そして何より、CubeVoyageを立ち上げたかった最初の意図である
「愛好家や上級者の間にしか共有されてない情報への入り口を作る」
という目的に、初級編というのがあまり沿っていなかった、というのが一番大きな要因です。
どっちかというと中上級者向けの情報を主に取り扱いたかったので、あんまり初級編を作ることに対して気持ちが向かなかったのです。
そういう経緯があって、これまで初級編は作ってこず、外部サイトに丸投げをしていました。
初心者向けだったら今はHPも動画も沢山ありますし……
ですがやっぱりそうもいかないな、と、ここ数年は感じていました。
CubeVoyageというサイトの、日本のキューブ界における立ち位置が思ったより重要なものになってしまい、「CubeVoyageに初級編が無い」という事のデメリットがとても大きなものになってしまっている事。
それから「M2Lメソッド」という、これまでと趣を異にする解法が登場した事。
これらの要因が、初級編を「作らざるを得ない」という動機になりました。
万の言葉を並べる人間より、一つのものを作り上げた人間の方が圧倒的に偉い。
これまでもそう思ってきましたが、大学を卒業し社会に出て、改めてそれを強く感じています。
自分が小学校の時に、ある詩が特別教室に張り出されていました。
「朝がくると」という、まど・みちおさんの詩です。
様々の事情により本文を載せることは差し控えますが、この詩を初めて読んだときに強い感銘を受けたのを、今でも憶えています。
いつか大人になったときの自分は何ができるのだろうと、子供ながらに考えたりしました。
今の世界はモノで溢れていますが、それはすべて、元から存在したわけではありません。
モノは、誰かが作ったからこそ、そこに存在します。
そして社会は、誰かが作ったモノのおかげで成り立っています。
その事実は、当たり前のことではあるのだけれど、とても重いことではないかと思うのです。
何かを作るというのは本当に大変なことで、正直自分もこうやって何かを世に出す度に、むちゃくちゃしんどい思いをしています。
正直、何かを消費したままで人生が終われるなら、それも悪くないと思うくらいには。
でも、自分はそのしんどさを知っているからこそ、世の中にありふれる「モノ」のありがたみを知ることができたのかなと思っています。
現代では、誰かが作ったモノだけでも十分に生きることができます。
自分で何かを作ることはせずとも、そこにあるモノを使って、消費していくだけで、充実した人生を送ることは可能です。
それゆえ、自分がいま手にしている、受け取っているモノが、世界の誰かが作ったということを、人はしばしば忘れてしまいがちです。
というか、今までの人生の中で、一度もそのことに気づいたことがないのではと思ってしまうような人間が、世の中には世代を問わずありふれています。
そういう人たちに対して、自分が憤慨したり、そういう人の考え方を改めようと思っているわけではありません。
ただ、そういう人間を見たときに「自分はこうはならない」と、自分の中で思い返すようにしています。
世の中に何かが「存在する」という事のありがたみを感じながら生きていく。
社会で生きるにあたって、自分はこのことを忘れないようにしたいなと思っています。
つまり俺は偉いということです。ホメて。
あと今日が誕生日なので祝ってください。
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Red Bull World Rubik's Cube Championship 日本予選に見る、スピードキューブシーンの今後について
2018 / 06 / 25 ( Mon )
あ
※この記事はあくまでHATAMURA個人の記事執筆時点の見解であり、所属団体の意見を表明するものではなく、また私自身の今後の発言との一貫性は保証されません。
2018年6月24日、Red Bull World Rubik's Cube Championship 日本予選(長い)が行われました。
私がこの記事を書く理由はいくつかありますが、最も大きなものは
「この大会のことは、全キューバーが知っておくべき」
だと、大会を通して感じたからです。
スピードキューブ界の今後を語るうえで、この大会の存在を無視することは絶対にできないでしょう。それくらいのインパクトがこの大会にはありました。
そのためにも、この大会のことはしっかり書き残しておくべきだと感じたのです。
そして、この記事を書く最もシンプルな理由は
「めっちゃ良かった」
からです。
端的に言って、良かった。参加者・観戦者・スタッフ、皆が「良かった」と、口をそろえていた。
それは、この記事を書くには十分な理由です。
とりとめのない話が続くかもしれませんが、どうかお付き合いください。
今日は僕の誕生日です。
2017 / 12 / 15 ( Fri )
この記事はSpeedcubing Advent Calendar 2017 の15日目の記事です。今日、私は24歳になりました。
私がスピードキューブを始めたのは2007年2月ごろの事です。なんだかんだでもう10年以上キューブ続けてるんだなあ、と時の流れを感じずにはいられません。
始めたころはこんな長い趣味になるとは思っていませんでした。自分は割と飽き性で、いろんな事を思い付きで初めてはすぐ辞めてしまうことが多いのですが、スピードキューブに関しては、気づけば見知らぬ人の集まるオフ会や大会に出るようになり、そしていつの間にか大会を開く側になってしまいました。ブログやHPを開設したり、アジア大会で司会をやったり、日本記録を取ったり、レビューで報酬をもらったり……もはや単なる趣味と片付けられないレベルになってしまったなあ、ずいぶん遠くまで来てしまったなあと他人事のように思ったりもします。
たぶん来年からは就職して働き始めることになるわけですが、これからもまだまだスピードキューブと関わっていきたい、という気持ちは当然あります。
ただ同時に、これまでと同じような付き合い方はできないんだろうなという気も少ししています。
すでに色んなところで言っているのですが、HATAMURAのキュービストとしてのピークは2010年の日本大会の時、平均11.48secで当時の世界ランク26位の記録を出した時です。そして、タイムを競いランキングを争うキュービストとしての自分はもう大分前に死んでいます。
自分のタイムを縮めるということに対して、かつてのような熱意を持って取り組むことができていないし、これ以降出来ることもないだろうなと正直感じてしまっています。
タイムを縮めること、成長することがキュービストの本懐であるのは間違いありません。ただ、そこにかかる努力、時間などのリソースを考えた時に、自分がそれをスピードキューブに注ぎ込み、今以上に成長することが出来るのかというと、多分無理だろう、と冷静に思ってしまうのです。
スピードキューブはあくまで世の中に溢れかえっている「趣味」の一つでしかないのだという事を忘れてはいけないな、と最近よく思います。
私自身はスピードキューブを通して沢山のものを得ました。自分の人生において、スピードキューブは欠かすことのできない重要な一要素であると自信を持って言えます。
ただ、それはスピードキューブでなければ得られなかったものなのか、と聞かれると、必ずしもそうではないと思います。
スピードキューブなんて、そんな高尚な趣味じゃないんですよ。
スピードキューブをやっても頭は良くなりませんし、人間的に成長もしません。愛は地球を救うかもしれないけど、キューブが世界を救うことは絶対にないです。
私が得られたものっていうのはもっともっと普遍的な事であり、別にスピードキューブに固有のものじゃないんです。
勉強・趣味・部活などを通して重要な教訓を得るというのは、誰でもいつか経験することです。何かしらの経験を通して新たな知見を得て、それによって人間的に成長していく。それが人間というものです。
その経験というのが、私の場合はたまたまスピードキューブだった。それだけの事です。
中学生の時にそういう人生を変えるものに出会えたという事はすごく幸運な事だと思うし、スピードキューブにはとても感謝しています。
ただ、スピードキューブを通して自分のような経験をする人間は稀だし、大多数の人間にとってはただの趣味でしかないんだなあ、と、わりと最近、今更になって分かってきました。
……ここまで書いて、どう考えても日本大会の前日に書く内容ではないなと気づきました。ごめんなさい。
いやまあ、ここ一年は就活だったりなんだったりで色々考えこんでしまうような事が多くてですね。
自分にとってスピードキューブって何だったんだろうなあとか、ちょっと思ったりしてたのです。
まあ、まだまだスピードキューブ自体を辞めるつもりはありません。いつか辞める時が来るかもしれませんが、それは今じゃないと思っています。
老害と呼ばれないよう、引き続きキューブ界との健全な付き合い方を模索していきたいと思います。
日本大会は3x3で決勝に残るのが目標です。全力で楽しみたいと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
これからもよろしくお願いいたします。
SASUKE2017 第33回大会の感想など
2017 / 03 / 27 ( Mon )
3/26にSASUKE2017がオンエアされました。
今回もリアルタイムで全て視聴させて頂きました。
(今住んでいる所にテレビはないので、ネットカフェに行って視聴しました)
乾さんを始めとした全てのスタッフの方々、参加者および観客の皆様、大変お疲れ様でした。
今回もとても楽しい番組を観させて頂き、本当にありがとうございます。前回と同様、今回も感想などいろいろ書かせて頂こうかなと思います。
結構長いです。ご注意ください。あと当然ネタバレを含みますのでご注意ください。
目次☆1stステージ
☆2ndステージ
☆3rdステージ
☆演出について色々
☆最後に
☆1stステージ前回からの変更点を中心に書いていきます。
・クワッドステップスが前回より揺れた?幅が広くなった?オンエアなどを見る限りでは、バランスを崩して落ちた選手が前回よりかなり多かったように思います。
とはいえ、落ち着いてやれば落ちるはずはないエリアだとは思いますが……一発勝負の本番ではなかなか難しいのでしょうね。
・フィッシュボーン新設KUNOICHIで猛威を振るったエリアでしたが、KUNOICHIほど沢山人が落ちたわけではなかったようですね。
自分が思うにですが、全体的にスケールが大きくなった分スキマが多くなり難易度が下がったのかな?というのと、1歩目に足をついておくという攻略法が見つかったこと、4つ目の足場とゴール地点の距離が狭かったぶん4歩目がしっかり踏めなくてもクリアできたということもあり、さほど鬼畜エリアにはならなかったのかなという印象です。
特に最後の点は選手にとっては相当ありがたかったのではないでしょうか。最後の足場からゴール地点までもっと距離があればサスケ君も落ちていた可能性がありますし。
ただ、このエリアがムチャクチャ難しくなかったおかげで、ステージ全体で見た時に丁度良い難易度バランスになっていたなと感じました。難易度が下がったという点ではもしかすると調整ミスだったのかもしれないですが、もし仮に「ステージ全体のバランスを考えて、難易度を下げるためにあえて最後の幅を狭くしていた」のであれば……これは
神調整であるとしか言いようがありません。スタッフ恐るべし、です。
スピンブリッジ以来久しぶりに純粋なバランス系エリアが登場して、エリアの見た目のバランス的にも非常に良かったんじゃないかと思います。安全面もあるので中々難しい所ですが、やっぱり1stはバランス系エリアあってこそだな、と個人的に思いますし。
次回以降もできれば継続で……あと、棒の配置を少し変えてみたりなんかすると面白いんじゃないかなと思います。ずっと同じだと研究されてしまいますし。
・タックル重さ据え置き過去のオンエアを見ていて気付いたのですが、もしかして31回と32回で床の材質が変わってました?31回は他と同じ布or木の板で、32回と今回はラバーみたいな素材に変わっていた?
だとすれば重量アップも納得です。滑る床で軽いおもりよりも、滑らない床で重いおもりの方が面白いに決まってますからね。
まあ実際の体感の重さは重量や床の材質だけでは何とも言えないところではありますが……
・制限時間115秒→128秒前回はギリギリアウトな人が多かったですが、今回はエリア1つあたりにかけられる時間が延びたおかげで少し難易度は下がったのかな?という印象でした。少なくとも前回ほど急がなくてもよかったなという感じです。2ndとのバランスを考えても、前回はちょっとキツすぎたかなと思いますしね……
・総括今回の1stの完成度は過去最高レベルだったと断言できます。少なくとも28回以降では間違いなく最高です。
各エリアの見た目や配置、難易度のバランス(極端に簡単・難しいというエリアが一切ない)、
制限時間(実力ある選手なら落ち着いてやれば確実にクリアできる時間設定)、
そして実際の選手のクリア状況(新旧バランスが良く人数も適度)、
全てにおいてパーフェクトでした。
有力選手のリタイアが思ったより多かったか?という感じですが、前回のように「有力選手しかほとんどクリアできていない」みたいな状況にはならず、2nd以降の難易度バランスと合わせて考えても過去最高によく出来ている1stだったんじゃないかと思います。
☆2ndステージ・リングスライダー新設正直クロススライダーはタイファイターとかぶってる上に絵面が地味でしたしね……変えてよかったと思います。
あの細い棒を縦に持つって地味にむちゃくちゃ握力使うと思うんですよ。大きな懸垂動作で体力も消耗しますし、後に出てくるサーモンラダーやバックストリームと合わせての上半身の体力消耗、そして3rd以降のことも考えると、この位置にこのエリアっていう配置は
一見大したことないように見えて相当キツイはずです。「よくやった!」そして「よくもやりやがったな!」っていう感じですね……
・制限時間115秒→110秒クロススライダーより時間と腕力を使うリングスライダーが新設されて5秒減なので、確実に難易度は上がっていましたね。32回が31回より若干簡単になっていたので、これもよい調整であったと思います。
・総括1stの難易度がやや下がって2ndの難易度が上がった分、リタイア者も多く出て見応えのある2ndでした。
今回の1stは、ジャンプやダッシュなどのダイナミックで派手な体の動きが多く要求される一方でエリア間の休憩にはある程度余裕があるという、いわゆる「運動神経」を問うようなエリア構成でした。それに対して、2ndは動きは地味ながら体力を確実に消費するエリアを連続させてタイムとの勝負をさせるという、純粋な「運動能力」を問うエリア構成だったな、というのが自分の感想です。
過去の2ndとはまた異なる意味での「スピード勝負の2nd」に変化し、1stとの住み分けがよりはっきりとしたな、という印象です。
まあこの2ndの構成を良く思わない人もいるとは思うんですけど、自分は今のエリア構成の方が好きですね。
水泳面白いじゃん。
☆3rdステージ今回は大きな変更はありませんでしたね。多分しばらくはこの構成が続くんじゃないかなあ。現状で十分難しいですし。
フライングバーで5人中4人が落ちてしまい、3rdの絵面が似たようなものばかりになってしまったというのが
今回のSASUKE全体を通してのほぼ唯一の不満点ですかね。クレイジークリフハンガーの飛び移りは3rdの華と言える部分ですし、それが今回1人しか見れなかったというのは少々残念でした。
ただ、これに関してはかつてのメタルスピン集団落下事件みたいなもので、ある程度偶発的なものだし仕方ないと思うんですよね。「こうなることも踏まえてエリア調整しろ!乾のミスだ!」って怒る気持ちも分からんでもないですが、さすがにこんなにフライングバーで落ちるのは予想できなかったんじゃないかなあ……前回は降雨以降の2人を除いて6人中4人クリアしてるわけですし。
これを怒るのは流石に結果論が過ぎると思います。それとも文句言ってるやつは予想できてたのか?
実際、フライングバーって5人中1人しか突破できないほど難しいんでしょうか?American Ninja Warriorを見ててもそこまで難しい印象はないのですが。皿の大きさとか距離とか視認性とかの関係なのかな。
ドリューの挑戦を見ている感じだと、飛ぶときに大きく体を振ってやや上に飛び、しっかり余裕を持ってバーの位置を合わせれば、そんなに緻密さは要求されないように思いますが……(見るのとやるのは違うっていうのは重々承知しているつもりですが)
最初の朝選手が勢い余って落ちてしまった分他の選手が委縮してしまい、振りと飛びが小さくなってバーの位置を合わせづらくなった結果、今回のような事態になってしまったんじゃないかなあ、と勝手に推測しています。サスケ君も明らかに振りを抑えてましたし。多分もうちょっと体振っても大丈夫でしたよね?
あと、フライングバーの落下が目立ってしまった一因として、ドラムホッパーで落ちる要素がほぼ無いという点は挙げられるかなと思います。ただドラムホッパーも確実に体力は消耗するエリアだと思うので、ここで落ちなくても後で落ちるということを踏まえるとそんなに悪いエリアではないかと思います。今回はその落ちるエリアが早すぎたっていうだけで。
☆演出について色々・放送時間について今回は2時間半とやや短い放送時間でしたが、今回の視聴率などの結果次第では年2回開催が復活するかもとのことで、非常に期待しています。KUNOICHIも合わせるとかなりの頻度になりますし、とても嬉しいですね。
放送回数が増えたらその分1回あたりの時間が短縮されるのは仕方ないと思いますしね……あまり長くしすぎても、自分みたいなファンは嬉しいけど、そこまでファンじゃない人は見ててしんどくなっちゃうかなとも思いますし。難しいところです。
・長野さんの解説選手目線での実践的な解説で、聞いていてとても興味深く、面白かったです。
後半はかなり声枯れてましたが……でもぜひ次回以降もやって欲しい。
……比較するのは失礼ですが、KUNOICHIでの山田さんの解説がちょっとアレだったので……
あれはあれで違う意味で面白かったですけど。
・MCについて多分これまでに比べて、今回は相当MC削ってましたよね?ほとんど一言も発してないゲストとかもいましたし。
ただ、ここまで削るんだったらそもそもこんなにゲストを呼ぶ必要はなかったのでは?という気もしますが……大人の事情なんですかね。
自分はMCはあっていいと思う派ですし、普通に演出として面白いと思っているので、できれば呼ぶ人はもう少し選んでくれたら……
・放送時間で結果が読めてしまうという批判
・HPの特集や挑戦直前のVTRでクリア可否がある程度読めてしまうという批判twitter見ててチラホラ見かけた意見です。まあイヤだっていうのは分かりますけどねえ。仕方なくね?
じゃあ、あっさり落ちてしまう選手にVTRの尺を取ればいいのかっていったら、それも違うでしょう?活躍した選手に尺取ってやれってなるでしょう?
「ネタバレにならないようにしろ」と言ってるのに「活躍してる選手に尺を取れ」って言うのは、主張が矛盾してるんですよ。
テレビ番組という体裁上こればっかりは如何ともし難いでしょう。100%結果が分からないようにするのが不可能な以上、ある程度結果が分かってしまうことは承知で少しでも面白くなるように編集する、っていうのが普通の選択肢だと思います。
あと、個人的には「放送時間ネタバレやめろ」とか「VTRとかテロップでのネタバレやめろ」っていうのは、吉本新喜劇に対して「分かり切ってるネタやっても面白くねえよ」って言ってるのと同レベルだと思うんですよねえ。批判の軸がズレてる。
そういうのも含めて楽しむっていうのがこの番組の楽しみ方じゃないかと思うわけです。
・クリア選手のカットについてこれに関しては今回相当頑張った方だと思うんですよ。前回の佐藤選手の扱いに関する批判を受けてか、
3rdは4人が同じ結果にも関わらず5人全員に挑戦前VTRを流し、挑戦は一切カットしませんでした。KUNOICHIでBLUE STAGEを5人中3人ダイジェストにしていたのと比較すれば、この異常さが分かっていただけると思います。
放送時間が2時間半と圧倒的に短い中で、3rdの佐藤選手や長崎選手をカットするという選択肢は普通にあったでしょう。なにせ落ち方が同じなのですから。正直、前回の佐藤選手のカットに関する批判が無ければ、今回の長崎選手は間違いなくカットだったと思います。
終盤に同じ画が続くのはなるべく避けたいという思いは絶対にあったハズです。それでも、今回は3rdは一切ダイジェストにせず、全員をインタビューまで放映しました。これは英断だったと思います。
今回のSASUKEの編集で、個人的に一番評価したい点です。前回の記事でも書きましたが、たとえオールスターであろうと完全制覇者であろうと海外代表であろうと、活躍しなかったら放送時間の都合でカットされてしまうのは仕方ないと思うんです。
そして、結果が大したことなくても注目選手を取り上げるっていうのも、これも演出を考えれば当然です。
ですが、SASUKEが好きな者として、
活躍した選手はちゃんと評価されて欲しい。これは譲れない思いです。
最低限とはいえ、今回はこの点がしっかり守られていました。これは本当に嬉しかったです。
放送時間や演出で難しい所は勿論あるとは思うのですが、できれば今後の大会でも、3rdまで行ったような選手の挑戦が全カットという事が無いようにしてくれると、自分としては大変嬉しいです。
☆最後にテレビの演出って難しいよなあ……と思います。
視聴者を番組に没入させるための大事な役割ですが、いい演出をしても賞賛されることは少なく、逆に下手を打って違和感を感じられたら容赦なく批判される。
マンガやアニメにおける背景、イベントにおける司会進行、野球における審判のように、常に減点法で評価されてしまう大変なお仕事だなと思います。
批判はアンチの皆さんがいくらでもやってくれるでしょう。ですので、この記事では「いいと思った所をホメる」というのに重点を置いて書かせていただきました。
放送を見ていて率直に感じる「違和感」だけではなく、じっくり考えることで見つかる「イイな」と思えるところを見つけ出し、それを書く。そうすることで、これを読んだ皆さんもいい気持ちになれると思うし、制作側の方が万一この記事を見た時に「番組をやってよかったな」と思えると思うのです。
私はSASUKEが大好きです。
20周年を迎えたSASUKEが、これからも皆に愛されて、ずっと続いていくことを切に願っています。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
記事を読んだ感想などございましたら、ぜひコメントなどお寄せください。
Cube Voyage更新「F2Lの先読み」
2016 / 12 / 15 ( Thu )
この記事はSpeedcubing Advent Calendar 2016の15日目担当の記事です。
既にのべ14人のキューバーにより様々な記事が書かれています。皆さんぜひご覧ください!F2Lの先読み - Cube Voyage上級編も大方埋まってきましたねー。今回はF2Lの先読みについて書いています。
これを読むだけで先読みが圧倒的に上手くなれるはず……
という記事ではございません。残念ながら。
主に「先読みとは何か」という点について掘り下げていく内容になっています。
クロスの時もそうでしたが、こういう判断や読みに関する内容は個人の感覚に大きく依存してしまうので、あまり詳細に書くことができないのが難しいところです。「こういう事をしている」と書くのはまだ可能なのですが、ではそれを身に付けるにはどうすればよいか?という点については「練習しましょう」としか書けなくなってしまうのですよね。
ただ、これについては「こういうものだ」と最近は思うようにしています。
ルービックキューブを揃えるという行為を考える際、「パズルを解く」という一般的なイメージをそのまま当てはめてしまうと、静的な「理論」を用いて説明ができるという先入観を持ってしまいがちです。キューバーは理系が多いということもあり(実際自分も理系なのですが)、スピードキューブというものに対しても完璧な理論があると思い込んでしまっている場合が少なからず見受けられます。
しかしスピードキューブというのは、人間の指を用いて、さらに揃えるまでの時間をいかに縮めていくかというものですから、少なからず「実践」の要素を持ちます。そして、実践的な行為の中にはやっている本人の感覚に依存する部分が必ず存在するため、これを他人に100%伝えること、他人に伝えられる言語・映像などに100%変換することは絶対に不可能です。このため、そういった技術を身に付けるには、他人から伝えられる情報はある程度役に立つものの、結局は自分の手で練習し感覚を養っていくことが必要不可欠です。
この事実は、一見理不尽なことであるように思われてしまいます。実際に行うことができている行為なのに「なぜそれが出来るのか」「どうやって身に付けたのか」と本人に聞けば、「分からない」「なんとなくの感覚でやっている」という答えが返ってきてしまうのです。自分でやっておきながら、それができる理由を自分で説明できない。そんなはずはない、答えをごまかしているだけだ、と思ってしまうかもしれません。
しかし、少し考え方を変えてみると、この「感覚」という概念にこそ、スピードキューブをする上での重要な意味があることが分かってきます。
皆さんは、スポーツになぜお金が発生するのか考えたことはありますか?
よくよく考えてみてください。ボールを素早く投げて、それを棒で打ち返すことに、果たして何の意味があるのでしょう?ボールを遠くに飛ばしたいなら、射出機でも使えば済むことです。しかし、実際は日本国内だけで、この行為でお金をもらって生活している人間が百人単位で存在します。他にもボールを足で転がしたり、あまつさえ速く走るだけ、板を履いて雪山を滑り下りるだけ、テレビゲームでハイスコアを取るだけで、お金をもらったり賞賛を浴びたり、果ては普通の人よりも多くの収入を得ている人間さえ居ます。
なぜ彼らは賞賛されるのでしょうか。そして、なぜ彼らはお金を得ることができるのでしょうか?
それを考えるにあたっての重要なキーワードは、「努力」です。
一旦スピードキューブに話を戻して考えましょう。
皆さん、スピードキューブの練習は楽しいですか?こう聞かれたとき、多くのキューバーは「楽しい」と答えると思います。楽しいからやってるわけで、趣味なんだから楽しくないことなんかわざわざやる訳がない、と思っているでしょう。
しかし、練習がなぜ楽しいのかというのを掘り下げて考えると、「練習してタイムが縮むのが楽しい」「練習して、出来なかったことが出来るようになるのが楽しい」と考えている人が殆どではないでしょうか?技術を手に入れるまでの過程である「練習」そのものに対して「楽しい」と考えている人はごくわずかではないかと思います。
何が言いたいか分かって頂けるでしょうか。つまり、「上達するための練習」というのは本質的に「つらいもの」である、ということです。練習が楽しいというのは錯覚であり、それは練習を通して得られる対価に魅力を感じているだけで、「練習そのもの」に魅力を見出しているわけではないというのが実際のところのはずです。
もちろん、楽しいという気持ち自体を否定するつもりは一切ありません。練習のなかで「楽しい」と思う気持ちは、練習を続けるうえでとても大事なことです。しかし、楽しいという気持ちだけに頼って練習をすること、「練習が楽しいものである」と思い込んでしまうことは、上達を目指すうえでは大きな危険を伴います。いざ練習に楽しさを感じられなくなった時に、練習を続ける理由を失ってしまうからです。
人間は変化を求める生き物です。上達の楽しさというものは、スピードキューブを続けるにあたってどんどん減少していきます。これはいわゆる「飽き」からくるものです。それとは逆に、上達に必要な練習量はレベルが上がるごとにどんどん増えていってしまいます。大多数の人間は、練習を重ねて上達を続けていくと、どこかの点で「練習するつらさ」が「上達する楽しさ」を越えてしまう瞬間が訪れます。
こうなってしまうと、ここから練習を続けるのはとても難しくなります。楽しさだけをモチベーションとして上達を永遠に続けていくことは、ほとんどの人間には不可能なのです。
ここで少し前の話題に戻ります。
スポーツ選手がお金や賞賛を得るのはなぜか?それは、彼らが努力して結果を出しているからです。
努力というものは本質的に楽しいものではなく、人間にとってつらいものです。大多数の人間がそのつらさに勝てず諦めてしまうところを、得られるかも分からない「結果」に向かって、一生懸命努力を重ねる。そうして得られた結果、手に入れた技術を、その努力の「証」として、試合・大会という形で我々に見せてくれる。そこにスポーツの興行としての価値があります。
誰もが得られるわけではない、努力を続けた物だけが手にすることのできるもの。そこにスポーツの本質があり、スポーツが職業として存在できるだけの「価値」が存在するのです。
このように考えると、スピードキューブというものの「価値」も見えてきます。
言語などの形で他人に伝達できるレベルの内容を「知っている」ことには何の価値もありません。それは多少の努力で誰にでもできる事だからです。
これに対し、技術を身に付けるために努力することは、誰にでもできる事ではありません。それは本質的につらい行為ですし、それに対して見返りが得られる保証はどこにもないからです。
そして、他人に伝えることのできない「感覚」を身につけていることは、努力を重ねたことの何よりの証拠になります。他人から教わったものではない、自分が努力の過程で身につけた物であるからこそ、それを他人に伝えるのが難しい。それを自分が持っているということが、その背後にある努力の裏付けとなります。
技術を使いこなすための「感覚」が身に付いていること。言い換えれば、頭で「知る」だけではなく、努力を続けて体で「理解」し、そしてそれが自分の力で「実践」できるということ。それは誰にでも出来ることではありません。簡単に手に入れることのできないこの「感覚」にこそ、スピードキューブという行為の本質的な価値が存在するのです。
僕がHPなどで自分の身に付けたテクニックを惜しみなく公開しているのには、このような理由も大きく関係しています。
文章で書いて伝えられる程度の情報には何の価値もないのです。文章で伝えるのが難しいようなこと、また伝えられる事であっても、それを「身に付けていて使いこなせている」ということにこそスピードキューブの本質があります。
自分が身に付けたという過程に価値があるのであって、身に付けたもの自体には一切の価値はありません。自分がそれを身に付けた時点でその価値は全て受け取っているわけですから、それを公開したって自分にとって何ら損はないのです。
また別の観点で言えば、文章を作成して公開する過程において、そういった感覚的な技術の一端を「他人に伝えられる形に変換した」ということに価値が発生しています。しかしそれでもやはり「文章にすること自体」に価値を見出しているわけですから、出来上がった文章については残りカスも同然でありそれ自体には何の価値もなく、少なくとも自分は価値を見出していません。ですからこれを公開することに損は発生していないわけです。
……話が脱線してきたので、このあたりでまとめに入ることにしましょう。一つの話になんでもかんでも詰め込もうとするのは僕の悪いクセですね。
スピードキューブ、ひいてはスポーツという行為に対して価値が発生する理由は、その高いレベルに到達するまでに大量の努力を要し、大多数の人間はそこにたどり着けないからです。もし技術を手に入れるための努力が楽しいものであったり、技術が少し学ぶだけで容易に身に付くのであれば、そこには誰も価値を見出しませんし、実際その程度のレベルの技術や努力に価値はありません。
誰でも身につけられるものではない、簡単に他人に伝えられるものではないからこそ、そこに努力する意味が生まれますし、身に付けた者が賞賛される理由が生まれます。文章化することのできない、ルービックキューブを速く揃えるための「感覚」を、自らの手で身に付けること。それがスピードキューブを練習する意味であり、価値なのです。
スピードキューブを練習するうえで「簡単に上達する方法が知りたい!」と考えてしまうかもしれません。確かに知識を得ることである程度努力を軽減することはできますが、それは決してゼロにはなりませんし、あなたが期待するほど少なくもなりません。しかし、そうやって得られる限りの知識を得てなお必要な努力にこそ、スピードキューブの本質があり、スピードキューブの価値があります。他の誰かではないあなた自身が、努力を行い技術や感覚を身につけること。それこそが、あなたがスピードキューブをする理由なのです。
努力しましょう。ルービックキューブを速く揃える理由は、そこにあります。